最近ではトルコリラ / 円のスワップポイントが高水準なのは周知の事実になってきました。
そんな魅力あふれるトルコリラですが、実はクロス円と組み合わせるよりもスイスフランと組み合わせた方がより高額のスワップポイントが貰えます。
そこで今回はCHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)で1日に貰えるスワップポイントや、ポジションを保有した場合のリスクなどを紹介していきたいと思います。
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トルコリラ / 円は高金利通貨
一般的に高金利通貨と言えばトルコリラが有名です。他にはメキシコペソや南アフリカランドなどがありますが、トルコリラは金利的にも頭一つ抜け出ている感じがします。
下記は高金利通貨を1万通貨保有した場合の1日のスワップポイントです。(2021年1月15日時点)
1日のスワップポイント | 現在の為替レート | |
---|---|---|
トルコリラ / 円 | 25円 | 13.913 |
メキシコペソ / 円 | 6円 | 5.244 |
南アフリカランド / 円 | 6円 | 6.819 |
参考:ヒロセ通商
上記の例では全てクロス円の場合のスワップポイントです。
FX(外国為替証拠金取引)における通貨ペアの内、米ドル / 円以外の外国通貨と円の取引の事。
我々は日本人なので日本円と外国の通貨を取引しますが、日本円を含まない外国通貨同士の取引でも高額のスワップポイントが貰えます。代表的な通貨ではCHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)です。
CHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)とは?
我々が普段から取引しているのは円を含んだ通貨「〇〇〇 / JPY」です、代表的なものではUSD / JPYがあります。この場合はアメリカの通貨(USD)を日本の通貨(JPG)で買う事になります。
これにより2国間の金利の差額がスワップポイントとして付与されます。
今現在のUSDの為替レートが103.872円(2021年1月現在)なので、1万通貨を購入すると、103万8,720円になります、これに2国間の金利差を掛けてやれば1年間に付与されるおおよそのスワップポイントになります。
それではCHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)ではどうなるのでしょうか?
ちなみにスイスの政策金利はマイナス0.75%に対してトルコの政策金利は17.00%(2020年12月時点)です。
低金利通貨を高金利通貨で買うのだから当然、差額の金利差を支払う必要があります。
CHF / TRYの取引では、CHF(スイスフラン)をTRY(トルコリラ)で買うのではなく、売るのです。
FXにおける空売り(売りから入る)とは?
一般的には外国の通貨を日本円で買い円安になったところで売却するのがFXの取引スタイルです。
例えば1ドル110円の時に1万通貨を購入すれば、総保有ポジションは110円×1万通貨=110万円になります。
しばらくして円安が進み1ドル120円になった場合に売却すると、120円×1万通貨=120万円になり10万円の為替差益がでます。
また売りから入る場合は実際には保有していない通貨を売り、円高になったところで買い戻します。
ドルをFX会社から借りて売り、後で買い戻してから返すというイメージが近いと思います。
CHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)は売りから入る
先ほどのCHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)に話を戻しますが、スイスとトルコでは当然トルコの方が政策金利が高いのでCHF / TRYを買う場合はスワップポイントを支払う必要があります。
ところがCHF / TRYを売りから入る場合は反対にスワップポイントを貰える事になります。
では実際にCHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)の1日のスワップポイントを見てみましょう。
CHF / TRYを取引できるFX会社はサクソバンク証券株式会社しかありません。
赤字がCHF / TRYを「買い」から入った場合に付与されるスワップポイントですが当然マイナスになっています。
反対に青字で記載されいるのが「売り」から入った場合のスワップポイントになります。
出典:サクソバンク証券株式会社
2021年1月分の売りスワップを平均すると1日当たり359円です、TRY / JPY(トルコリラ / 円)が37.4円なので違いが良く分かりますね。
CHF / TRYの売りスワップポイントが高い理由は?
2021年1月15日現在でのスイスフランとトルコリラの為替レートを見てみましょう。※スワップポイントはおよその金額です。
通貨 | 為替レート | 1日の買スワップポイント | |
---|---|---|---|
CHF / JPY | スイスフラン / 円 | 116.541 | -48.8円 |
TRY / JPY | トルコリラ / 円 | 13.913 | 37.4円 |
CHF / TRY | スイスフラン / トルコリラ | 8.40264 | -554円 |
TRY / JPYを例に取ってみましょう、TRY / JPYを1万通貨購入した場合は総保有ポジションは13.913円×10,000通貨=139,130円になります。
この金額に2国間の金利差(トルコ17.00% 日本円マイナス0.1%)の17.10%を掛けたものが1年間のスワップポイントになります。
23,791円が1年間のスワップポイントです、これを365日で割ってやります。
139,130円×17.10%=23,791円、23,791円÷365日=65円。
注意点として必ずしもこの金額が付与されるという事はないですね、実際にはもう少し少ない金額が付与されると思います。
CHF / TRYでは?
CHF / TRY=8.40264という事は、1フランは8.40264リラになります。
CHF / TRYを1万リラ(通貨)購入しましょう。8.40264リラ×10,000通貨=84,026リラになりますが、リラと言われてもサッパリ分からないので円換算してやりましょう。
1トルコリラ=13.913円なので8.40264リラを円に換算すると、84,026リラ×13.913円=1,169,053.738円になります。ややこしいので小数点を省くとスイスフランを1万リラ購入するのに必要な日本円は116万9,053円になります。
CHF / TRYを「買い」で購入すると2国間の金利差(スイス-0.75% トルコ17.00%)を支払わなくてはなりません。この場合は116万9,053円×17.75%=207,506円、1年間に20万7,506円を支払う計算になります。
これを365日で割ると20万7,506円÷365=568円になります、つまりCHF / TRYを「買い」から入った場合は1日に568円のスワップポイントを支払う必要があります。
CHF / TRYを売りから入るだけで1日に400円近いスワップポイントが貰えるわけですね。
CHF / TRYを1万通貨「売り」で保有するために必要な資金は?
CHF / TRYを1万通貨空売りした場合の総保有ポジションは84,026リラです、これを円換算すると116万9,053円になります。
安全運転で行くのならばレバレッジ1倍の116万円の資金が必要になりますが、さすがに100万円以上もの資金を用意するのは難しいですね。
レバレッジ | 必要になる資金 |
---|---|
1倍 | 116万9,053円 |
5倍 | 23万3,810円 |
10倍 | 11万6,905円 |
CHF / TRYを1万通貨「売り」で保有した場合のリスク
1日に付与されるスワップポイントが300円台と高額なCHF / TRYの「売り」ポジションですが、同時にリスクも存在します。
為替は常に変動しているので、為替で得をする場合(為替差益)や損をする場合(為替差損)があります。
ポジションを保有した辺りをウロウロしてくれるのが一番良いのですが、CHF / TRYの場合はスイスフランが強いんですね(笑)。
ぞ存知の通り2008年のリーマンショック以来トルコリラの為替レートは下がりっぱなしです、ワタシはトルコリラ / 円を80円台で購入しましたが10年たったら10円台まで下落してしまいました。
トルコリラが急落!過去最安値に【今後の見通しは?】
それでは実際のCHF / TRYのチャートを見てみましょう。
サブプライム以前は1でしたが、あっと言う間に8を超えてしまいました。
CHF / TRYの「買い」ポジションの場合はリラを売ってフランを買うのだからチャートが右肩上がりになればなるほど為替差益がでます。
しかしCHF / TRYの「売り」ポジションの場合はフランを売ってリラを買うのだから反対に為替差損になります。
2018年の1月に3.84997だったCHF / TRYが、2021年1月には8.40264になっていますが、売りポジションの場合どれだけの為替差損が発生したのかを計算してみましょう。
38,499リラで売ったものを84,026リラで買い戻したわけなので、マイナス45,527リラの損失になります。円換算すると45,527リラ×13.913円で63万3,417円の損失ですね。
CHF/TRYの為替レート | 総保有ポジション (10,000通貨購入時) |
|
---|---|---|
2018年1月 | 3.84997 | 38,499.7リラ |
2019年8月 | 8.40264 | 84,026.4リラ |
2018年1月から2021年1月までで約3年分のスワップポイントが付与されるので、スワップポイントの平均が350円と仮定した場合は350円×1,095日=約38万円になります。
先ほどの為替差損63万円からスワップポイント38万円分を差し引くと25万円の損失になりますね。
為替の変動が無ければ良いのですが、そうは問屋が卸しませんね(笑)。
CHF / TRYの理想的な投資方法
常に為替差損というリスクが付きまとうCHF / TRY投資ですが、今後の理想的な取引方法をシュミレーションしてみました。
- CHF / TRY上昇
- CHF / TRY変わらず
- CHF / TRY下落
CHF / TRY上昇→✖
CHF / TRY上昇という事はCHF / JPYが上昇もしくはTRY / JPYが下落した場合に起こります、要するにスイスフランが上がるかトルコリラが下がる状態ですね。
この場合は為替差損が起こります、付与されたスワップポイントの金額よりもCHF / TRY上昇で損失を受けた金額の方が大きかった場合は総合的に損失が起こります。
CHF / TRY変わらず→〇
CHF / TRYの数値が変わらない場合は当然為替差損や差益は起こりません、なので付与されるスワップポイント分だけ利益が出ます。
CHF / TRY下落→◎
CHF / TRY下落という事はCHF / JPYが下落もしくはTRY / JPYが上昇した場合に起こります、要するにスイスフランが下がるかトルコリラが上がる状態ですね。
この場合は為替差益とスワップポイントで付与された金額の2重で利益が出ます。
まとめ
ここではTRY / JPG(トルコリラ / 円)の「買い」よりもCHF / TRY(スイスフラン / トルコリラ)の「売り」方が1日に付与されるスワップポイントが高くなる事を紹介しました。
CHF / TRYの「売り」ポジションでは1日に400円近いスワップポイントが付与されるのが大きな特徴です。
CHF / TRY投資で利益を挙げる方法は以下2点のいずれかに絞られます。
- CHF / TRY下落(スイスフラン / 円下落、トルコリラ / 円上昇)
- CHF / TRY変わらず
注意点として今現在のトルコリラ / 円は非常に不安定な通貨で下落が目立っています、あまりにもトルコリラ / 円が下落するとスワップポイントよりも為替差損で損失が出る可能性があります。
CHF / TRYの為替レートが安定しているのならば投資しても良いですが、今までみたいにチャートが右肩上がりでは損をしてしまいますね。
この場合は毎月一定額を積立購入する方法もあります、いわゆるドル・コスト平均法ですね。
いずれにせよFX投資はリスクがある事を頭に入れて自己責任で取引を行いましょう。